イベントのお知らせです。
今週末の12/3(土)NHKカルチャー青山(NHK文化センター青山教室)にて、『トランスジェンダー問題』に解説も書いてくださった清水晶子さんと特別対談「フェミニズムとトランスジェンダー」をします。この講座は『トランスジェンダー問題』の翻訳出版をきっかけとしてはいますが、話す内容は書籍には縛られません。
申し込みは、以下の「webあかし」のページから見に行くと分かりやすいと思います。対面の教室(青山)とオンラインと、2つの形態どちらでも参加できます。見逃し配信もあるようです。
対談の内容ですが、2人でしたい話をします。
わたしは、無性愛的フェミニズムの源流のひとつとして、60年代後半~70年代前半あたりのアメリカのラディカルフェミニズムの理論家の思想をとりあげ、そこから「ノンバイナリー・フェミニズム」の可能性を探っていくつもりです。
トランスの権利に関心をもつ人には「ラディカルフェミニズム」に悪い印象を持っている方もいるかもしれませんが、『トランスジェンダー問題』の訳者解題に書いた通り、トランス親和的なラディカルフェミニズムはあり得るはずですし、むしろわたしは、昨今の「ジェンダー・クリティカル」を名乗る人々の方が、よほどラディカルフェミニズムの核心を逸していると考えています。「セックス・イズ・リアル」で「ジェンダー解体」というのがその方針のようですが、性役割(sex role)の強制によって男性優位体制(家父長制)下で構築された階級としての女性、という出発地点から始まる初期のラディカルフェミニズム理論は、そのような方針とは正反対の方向に向かっていたはずです(多くの人が指摘していることですが)。
わたし自身がノンバイナリーなので、バイナリーなトランスの人たちの経験とは異なる視角から話を組むことになると思いますが、(セックスだろうとジェンダーだろうとどちらの意味であろうと)性差を創り出す社会の仕組みがある限り性差別はなくならないとしたラディカルフェミニズムから、ノンバイナリーたちが学べることは多いだろうと思っています。うん、楽しそう。
対する清水さんからは、わたしがそうして掘り起こそうとする思想から零れ落ちてきた女性たちの経験にはじまるフェミニズム理論・運動をご紹介いただく予定です。鍵となる問いは、おそらく「フェムであることって悪いこと?」という問いに(近いもの)になるはずです。その問いは、わたしが先に紹介するラディカルフェミニズム的な発想に対する対抗軸であると同時に、トランス女性であるジュリア・セラーノが「女性性を取り戻す(Reclaiming Femininity)」という言葉でフェミニズムによる「女性性忌避」を問題化した地平にも通じるものとして、トランス的な人々にとっても重要性を持ち続けています。
以上、だいたいこんな話を出発点に、二人で話していく予定です。お楽しみに。
★諸連絡:申し込みにあたって
いくつか連絡事項です。
(1)性別の質問について
この講座の申し込みにあたって、性別を訪ねる項目があります。募集開始当初は「男・女の選択肢のみ+回答必須」でしたが、システム改修を施してくださり、「男性・女性・回答しないの3択+回答は必須ではない」ものへ変更されました。最善とはいいがたいですが、性別欄には回答しなくても申し込みが可能になりましたので連絡します。
(2)講座の費用について
クレジットカードがなければ講座の費用を払えないとの指摘をいただきました。トランスの人の中にはセックスワーカー(や広義の風俗業従事者)の方も少なくなく、そうした方たちはクレカ会社の審査に通らないことがあるため、カードが必須というのは好ましい状況ではありません。すぐには対応できないと思いますが、NHK文化センターの方と今後相談してみます。
(3)費用負担について
受講費用が、安くは…ありません。オンライン参加で3,300円、教室参加だと4,500円くらいします。ご参加を検討してくださっているトランス・ノンバイナリーの方で、費用がハードルになっている方がいらっしゃいましたら、わたしの連絡先を調べたうえでご連絡ください。何名か、この講座によるわたしへの謝礼を使って、費用を負担させていただいています。
それでは、土曜日は皆さんにお会いできることを楽しみにしています。