ゆと里スペース

いなくなってしまった仲間のことも思い出せるように。

ジュンク堂池袋店:『布団の中から蜂起せよ』高島鈴さんとトークイベントします

 今週土曜日(18日)19時半~21時、ジュンク堂池袋本店さんの主催するイベントで、『布団の中から蜂起せよ』著者の高島鈴さんとお話しする機会をいただきました。同書ならびに拙訳『トランスジェンダー問題』の刊行記念イベントになります。

2/18『トランスジェンダー問題』『布団の中から蜂起せよ』発刊記念 高井ゆと里×高島鈴トークイベントonline.maruzenjunkudo.co.jp

(Webあかしのこちらの窓口の方が見やすいかもしれません。)

webmedia.akashi.co.jp

 今日打合せをしてきました。毎度のことながら、たのしくなりそう!です。

 『トランスジェンダー問題』と『布団の中から蜂起せよ』。もしかすると、発売後興味を持ってくださった方の読者層は重なっている部分が大きかったかもしれません。実際のところ、反資本主義、フェミニズム、反国家暴力といった基本的な視角を2冊は共有してもいます。しかし、訳者と著者である私たちは、両者がどれほど「似ていないか」を知っています。

 まずは文体。『布団の中から蜂起せよ』を読んだ方は、まず何よりもその文体に圧倒されたでしょう。アジ文と言えば、そう。ただ、前提と理由づけをひとつひとつ詰めていくのではない、高島さんの言葉は、そうでなければ届かなかったところへと私たちの想像力を引っ張っていきます。そうした文体は、『トランスジェンダー問題』とは正反対です。なぜそのような差異が生まれたのか。そしてその差異が、単に言葉づかいや叙述のスタイルを超えて、どのように2冊の内容を支え、また制約しているのか。イベントではその辺をお話しできそうです。

 加えて『トランスジェンダー問題』は翻訳です。著者であるフェイさんの英語と、わたしの翻訳による日本語には、文体のレベルで大きな違いがあります。原書を読んでいた方なら、気づいているでしょう。そこでのわたしの選択についても、お話しできればと思います。

 しまった。延々と書きそうなので、ここまでにします。文体の他にも、自己を語ることの意味とか、国家というシステムそのものとの向き合い方、フェミニズムルッキズムあるいは「見た目」との交渉(ネゴシエーション)について、等々についても話せたらいいですね、ということで今日の打ち合わせは終えました。
 また、私たちは共に研究者ですから、個人の能力を示すための「生産」に駆り立てられ、個人間競争の極みとしての様相を呈している現在のアカデミアの構造的問題についても、時間があれば話そうと思います。わたしは、大きな断絶を含みつつも、この異常な環境下に適応し、ここまで生きてきました。ただ、ここまできて思います。人がこんなにも切断され、負債を背負わされ、自己の能力と向き合い続け苦しみ続けなければならないシステムに社会の学知の再生産を委ねるのは、はっきり間違っていると。

 当日のジュンク堂池袋店には、わたしと高島さんだけが集まって、そこからオンライン配信(のみ)ですので、ご注意ください。また、配信視聴チケットと同じ権利で、イベント後1週間はアーカイブ動画が観られます。

 それでは、土曜日にお会いしましょう。(現時点で予定されている『トランスジェンダー問題』の刊行記念イベントは、これでいったん最後になります)