ゆと里スペース

いなくなってしまった仲間のことも思い出せるように。

『トランスジェンダー入門』刊行記念イベント:代官山蔦屋さん

 『トランスジェンダー入門』が発売されてから約2週間が経ちました。その間、発売4日で重版が決まり、それから1週間ほどで重版(3刷)が決まりました。本当に多くの方に手に取っていただき、ありがとうございます。

 そんな書籍の、最初の刊行記念イベントが明日28日(金)に予定されています。著者である2人が作家の李琴峰さんをお迎えして、代官山蔦屋書店での鼎談になります。

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 李琴峰さんと知り合ったきっかけは、昨年わたしが刊行した『トランスジェンダー問題』に推薦文(帯文)を寄せていただいたことでした。ちょうど1年くらい前です。それから、色々な場所でご一緒することも増えました。今回もこうして『トランスジェンダー入門』のイベントでお会いすることになりましたが、書籍の出版を通して色々な方と繋がれるのは嬉しいものですね。

 先日、明日のイベントの打ち合わせがありました。めっちゃ楽しかったです。

 今回の『トランスジェンダー入門』については、周司あきらさんと書いていることもあり、「当事者が書いた本」のように言われることがあります。しかし、著者である私たち自身はその点にさほど意味を見いだしていません。詳しくは明日のイベントで話しますが、この新書に関しては、私たちは「誰かが書かなければならない本だった(から書いた)」という意識の方が強いです。(そのあたりの現状認識については、明日ばきばきにお話ししたいところです。わたしにも生活があり仕事がありますが、昨年から今年にかけて、トランス関係の出版にいくつも主体的に携わってきました。なぜ寿命を削るようなことをしているのか、ふだんあまり話す機会はないので、明日は語りたいだけ語らせてもらおうと思います)

 それに対して、日本語の小説家として、レズビアンが登場する、クィアが登場する、そしてトランスジェンダーが登場する優れた小説を書いてきた李琴峰さんは、私たちのそうした動機とは全く違った原動力で、小説を書いていることでしょう。実に当たり前ですね。

 もちろん、著者である私たち2人のあいだでも、想定する読者や、この本の「読まれ方」については違いがあります。打合せのときに周司さんに言われたのですが、わたしはこの本の出版を「矛」のように理解していますが、周司さんはそれを「盾」のように理解しています。言い得て妙だと思います。そして、それぞれが想定するこの本の想定読者も、実はけっこう違います。周司さんは、かつての自分に読ませたいという思いもあったようですが、わたしにはそうした動機はありません。

 打ち合わせでは他にも、クィア表象における「若さ」の問題や、クィア表象における「説明しすぎのむずかゆさ」問題、そして「トランスジェンダーの本が今こんなにも売れてしまう」問題(?)も話題に上がりました。いま、私たちが手にできるトランス関連の書籍は、ほんの3年ほど前とは大きく変わっています。この変化を、積極的な転化に変えていけるか。打ち合わせで李琴峰さんに言われたことが、忘れられません。

 ということで、明日は私たち3人の執筆活動のモチベーションとか、エネルギーとか、世の中でどんな風に本が読まれて欲しいかとか、そういった話から、クィア表象一般についての話など、しようと思います。打ち合わせも一瞬で90分くらい経ってしまいました。とても楽しみです。

 なおイベントの終了後は、会場が閉まるまで時間がすこしあるようですので、その場にいらっしゃる方と少しお話ししたり挨拶したりする時間になります。イベントに絡めた言い方をすると、李琴峰さんとサイン会的な時間にもなります。代官山蔦屋さん、2階のラウンジは本当にきれいなところなので、皆さんとお会いできることを楽しみにしています。2階を貸し切りにできそう、ということで、来場参加もまだチケットがあるはずです(27日22時時点)。

 最初のイベントですので、オンラインの方も含め、皆さんとお祝い的にイベントを作っていけたらいいかなと思います。それでは。